沈丁花

庭で摘んだ沈丁花を玄関に飾ったら、毎晩何やら声がする。

「ニテヒナルモノ ニテヒナルモノ」

そう聞こえる。

薄気味悪くて捨てようかと思ったが、昼間は何も言わないし、まだ綺麗な花をゴミ箱に放るのは憚られた。

ある晩、炬燵でうとうとしていると、何かがゴトン、と転げたような音がした。玄関を見ると、靴箱の上で瓶が倒れている。

ぴしゃ、ぴしゃ、と音を立てて、沈丁花が床を這っていた。